OldCord〈カスタムスプール専門店〉

2021/08/09 10:40


ご覧いただきありがとうございます。

 
今年の渓流もシーズン終盤に差し掛かかってきました。
あんなに待ち望んでいた21シーズンも、一瞬で過ぎ去り、出会った魚は両手で数えれるほど。
 
ただ、昨年のコロナ禍でなかなか釣行が出来なかったことを考えると、竿を振ることが出来ているだけで感動すら覚えます。
また、漁業組合をはじめ、日頃より森林整備や道路整備に携わってくださっている方々に感謝致します。
 
 
さて最近、釣りを全くしない方から、「何をやっているの?」と聞かれることが多々あります。
 
これには非常に困ります。
 
というのも、分野も分野であるため、いきなり「ラングレーの重量級アルミスプールをブランキング加工したり、軽量浅溝スプールを製作している」なんて言ったものなら周りから人が居なくなりかねません。
 

何かいい例えはないだろうか。


例えば、

「マツダ キャロル360を現代のF1レースに出場させるためのエンジンを作っている」


なんてどうでしょうか。







各方面からクレームが飛んできそうですが、あくまでもイメージです。


もちろん実際にエンジンを作っているはずもなく、作っているのは一見ただの筒状のもの。


エンジンとは程遠いものです。





ただ、釣りをされる方なら、このパーツの重要性を容易に想像できるはずであります。






それだけこのパーツにリールの性能全てがかかっていると言えます。



 

強度を軽量化に全振りし、小さな車体からは想像出来ないおよそ700馬力という怪力を一瞬にして出力するF1カー。

 

はたまた、日々1/100の単位で軽量化を追求し、半世紀も前に製造されたダイレクトリールを、渓流という最も繊細さを必要とする釣りで使用する。


こんな使命を自分で勝手に課しながら「リールのエンジンを製作している」。なんて。

 

夢心地に浸りながら、こう胸を張ってみたいものです。


 

詰まるところ「何をしているんだ」という問いには現在「F1カー」を作っているなんて言ってみようかな。

 

 

 

とは言っても、各国が血眼で研究し開発するF1カーも、サーキットでこそ、その真価を問われます。


時には一瞬にして吹き飛ぶことだってあります。



リールに関しても、吹き飛ぶことこそありませんが、渓流という名のサーキットで真価を問われます。

常に自然を相手にする渓流釣りにおいては、雨や風のみならず山頂特有の雪崩や雷が往々にして起こります。熊だって出現します。

 


結局安全なところでどれほど数値を突き詰め、煮詰め切ったとしても、往々にして裏切られるのです。


「現場でこそ性能を問われる」という点を製作者は常に頭に入れておく必要があると思うのです。

 




答えはいつも森の中にあります。


 


OldCord

M Kimoto